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平成30年 高等学校学習指導要領(基礎物理)

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基礎物理

1. 目標

 物体の運動と様々なエネルギーに関わり、理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって観察、実験を行うことなどを通して、物体の運動と様々なエネルギーを科学的に探求するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。

  1. (1) 日常生活や社会との関連を図りながら,物体の運動と様々なエネルギーについて理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
  2. (2) 観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。
  3. (3) 物体の運動と様々なエネルギーに主体的に関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。

2. 内容

(1) 物体の運動とエネルギー

日常に起こる物体の運動についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。


  1. 物体の運動とエネルギーを日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
    1. (ア) 運動の表し方
      1. ㋐ 物理量の測定と扱い方
        身近な物理現象について,物理量の測定と表し方,分析の手法を理解すること。
      2. ㋑ 運動の表し方
        物体の運動の表し方について,直線運動を中心に理解すること。
      3. ㋒ 直線運動の加速度
        速度が変化する物体の直線運動に関する実験などを行い,速度と時間との関係を見いだして理解するとともに,物体が直線運動する場合の加速度を理解すること。
    2. (イ) 様々な力とその働き
      1. ㋐ 様々な力
        物体に様々な力が働くことを理解すること。
      2. ㋑ 力のつり合い
        物体に働く力のつり合いを理解すること。
      3. ㋒ 運動の法則
        物体に一定の力を加え続けたときの運動に関する実験などを行い,物体の質量,物体に働く力,物体に生じる加速度の関係を見いだして理解するとともに,運動の三法則を理解すること。
      4. ㋓ 物体の落下運動
        物体が落下する際の運動の特徴及び物体に働く力と運動との関係について理解すること。
    3. (ウ) 力学的エネルギー
      1. ㋐ 運動エネルギーと位置エネルギー
        運動エネルギーと位置エネルギーについて,仕事と関連付けて理解すること。
      2. ㋑ 力学的エネルギーの保存
        力学的エネルギーに関する実験などを行い,力学的エネルギー保存の法則を仕事と関連付けて理解すること。

  2. 物体の運動とエネルギーについて,観察,実験などを通して探究し,運動の表し方,様々な力とその働き,力学的エネルギーにおける規則性や関係性を見いだして表現すること。

(2) 様々な物理現象とエネルギーの利用

様々な物理現象についての観察,実験などを通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。


  1. 様々な物理現象とエネルギーの利用を日常生活や社会と関連付けながら,次のことを理解するとともに,それらの観察,実験などに関する技能を身に付けること。
    1. (ア) 波
      1. ㋐ 波の性質
        波の性質について,直線状に伝わる場合を中心に理解すること。
      2. ㋑ 音と振動
        気柱の共鳴に関する実験などを行い,気柱の共鳴と音源の振動数を関連付けて理解すること。また,弦の振動,音波の性質を理解すること。
    2. (イ) 熱
      1. ㋐ 熱と温度
        熱と温度について,原子や分子の熱運動の観点から理解すること。
      2. ㋑ 熱の利用
        熱に関する実験などを行い,熱の移動及び熱と仕事の変換について理解すること。
    3. (ウ) 電気
      1. ㋐ 物質と電気抵
        抗電気抵抗に関する実験などを行い,同じ物質からなる導体でも長さや断面積によって電気抵抗が異なることを見いだして理解すること。また,物質によって抵抗率が異なることを理解すること。
      2. ㋑ 電気の利用
        発電,送電及び電気の利用について,基本的な仕組みを理解すること。
    4. (エ) エネルギーとその利用
      1. ㋐ エネルギーとその利用
        人類が利用可能な水力,化石燃料,原子力,太陽光などを源とするエネルギーの特性や利用などについて,物理学的な観点から理解すること。
    5. (オ) 物理学が拓く世界
      1. ㋐ 物理学が拓く世界
        この科目で学んだ事柄が,日常生活や社会を支えている科学技術と結び付いていることを理解すること。

  2. 様々な物理現象とエネルギーの利用について,観察,実験などを通して探究し,波,熱,電気,エネルギーとその利用における規則性や関係性を見いだして表現すること。

3. 内容の取扱い

(1) 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。

    • 内容の(1)及び(2)については,中学校理科との関連を考慮し,それぞれのアに示す知識及び技能とイに示す思考力,判断力,表現力等とを相互に関連させながら,この科目の学習を通して,科学的に探究するために必要な資質・能力の育成を目指すこと。
    • この科目で育成を目指す資質・能力を育むため,観察,実験などを行い,探究の過程を踏まえた学習活動を行うようにすること。その際,学習内容の特質に応じて,情報の収集,仮説の設定,実験の計画,実験による検証,実験データの分析・解釈,法則性の導出などの探究の方法を習得させるようにするとともに,報告書などを作成させたり,発表を行う機会を設けたりすること。

(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。

    • 内容の(1)のアの(アの㋐については,この科目の学習全体に通じる手法などを扱うこと。
    • (イ)の㋐については,摩擦力,弾性力,圧力及び浮力を扱うこと。また,空間を隔てて働く力にも定性的に触れること。㋑については,平面内で働く力のつり合いを中心に扱うこと。㋒については,直線運動を中心に扱うこと。㋓については,自由落下,鉛直投射を扱い,水平投射及び空気抵抗の存在にも定性的に触れること。
    • (ウ)の㋐の「位置エネルギー」については,重力による位置エネルギー,弾性力による位置エネルギーを扱うこと。㋑については,摩擦や空気抵抗がない場合は力学的エネルギーが保存されることを中心に扱うこと。
    • 内容の(2)のアの(ア)の㋐については,作図を用いる方法を中心に扱うこと。また,定在波も扱い,縦波や横波にも触れること。㋑については,波の反射,共振,うなりなどを扱うこと。
    • (イ)の㋐については,熱現象を微視的に捉え,原子や分子の熱運動と温度との関係を定性的に扱うこと。また,内部エネルギーや物質の三態にも触れること。㋑については,熱現象における不可逆性にも触れること。
    • (ウ)の㋐については,金属中の電流が自由電子の流れによることも扱うこと。また,半導体や絶縁体があることにも触れること。㋑については,交流の直流への変換や電磁波の利用にも触れること。
    • (エ)の㋐については,電気エネルギーへの変換を中心に扱うこと。「原子力」については,核分裂によってエネルギーが発生していることに触れること。関連して放射線の種類と性質,放射性物質の基本的な性質及び原子力の利用とその課題にも触れること。
    • (オ)の㋐については,日常生活や社会で利用されている科学技術の具体的事例を取り上げること。




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